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ISBN978-4-88978-090-1

田村 実香著

四六判 208頁
定価 (本体1,500円+税)

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紅〜ひとすじに熱く

本書は、小野小町、和泉式部、樋口一葉、与謝野晶子、宮田文子、そして、泉鏡花の妻すず、という、恋に生き、恋に命をかけた、このまったく異なる魅力あふれる6人の女たちの生きざまを、現代の女流作家が新しい視点でえがくユニークな評論です。  
和歌の解釈なども、これまでのお仕着せの解釈でなく、堂々と自分流を貫き、そして「なるほど」と納得させられます。
ぜひ、このひとすじに熱い、美しい女たちの魅力をご堪能ください。  
なお、カバー絵は美人画では定評のあるイラストレーター永倉万里江さんですが、ちなみに女性のモデルは著者です。
現代の美女が、いにしえの美女を同じ女心で語っているのが本書の一番の魅力でもあります。
女心は女にしかわかりません。 美女の悩みは美女にしかわからないのです。

まえがき
〜女たちよ、美しく〜
詩人・「風狂塾」塾長 三笠秀慈
   
田村実香は塾生にして、時々講師である。
カルチャー教室の単発講座を、時間の無い時には押し付けたりするのだが、受講生の評判は私よりいい。  
ある日、彼女は、その濡れぬれと黒い大きな瞳をいっぱいに見開いてこういった。
「先生!小野小町は絶対に深草の少将のことが好きだったはずです」 「どうして?相手にしてなかったというのが、通説だけど・・・」 「『百夜通って来たら、あなたのものになりましょう』と言ったでしょう。
好きでなかったら、何夜通って来ても、ダメなものはダメ。
小町は少将の覚悟が見たかったんですよ。
女はね、無理難題を吹っ掛けても、脈ありならば、ちゃんとできることをいうんです。
かぐや姫のように到底できないことをいうのは、気がないんですよ」 そういうことをいつか書きたいと、頬を紅潮させながら言っていたのを思い出す。
彼女は、通説として語られているいろんなことに異を唱える。 時に本気で憤慨する。
まるで、すでにこの世にない女たちの思いを代弁するかのように・・・。
そんな彼女の思いが、『紅』という一冊にあふれている。  
これはユニークな、新しい評論である。 和歌の解釈なども、学校の授業で習ったお仕着せの解釈を蹴飛ばして、堂々と自分流を貫いている。
そして「なるほど」と納得させられる。 小野小町、和泉式部、樋口一葉、与謝野晶子、宮田文子、そして泉鏡花の妻すず。
女たちはそれぞれ、まったく異なるタイプ、まったく異なる個性である。
それでもこの六人には共通点がある、生き方が一途で潔いこと。
運命を引っ張って行くパワーがあること。 そして美しいことである。
読者諸兄には、ぜひ、ひとすじに熱い、美しい女たちの魅力をご堪能いただきたい。  
表紙絵は美人画の第一人者である永倉万里江画伯。 著者とは二度目のコラボとなる。  
一昨年秋、京都での永倉画伯の個展で田村実香と並んだところを目にした。
若く勢いある作家と、ゆるぎない実力を持つ女盛りの画家。 二人の女流はともに美しかった。
天は二物を与えずという。 しかし芸術の神様も、どうやら私同様気に入った女性には甘く、二物、三物と与えてしまうものらしい。

著者 田村実香のブログ うさぎのしっぽ