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ISBN978-4-88978-082-6 |
前田 和彦著 |
A5判 160頁
定価(本体1,800円+税) |
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授業の「つかみ」は最初の5分 パート・U ―英文法編― |
「最近、子どもや学生たちが授業に集中しなくなってきている」といろんな先生から耳にします。 英語の授業においても例外ではありません。
彼ら・彼女らは教室の中にいても、「心ここに在らず」という状態なのでしょう。
「英語を勉強しよう」と意欲的な学生が集まっていれば我々教師は苦労しないのですが、そうでない場合は、特に授業の導入時に学生たちの注意を引きつけることが大切になってきます。それを怠ると、学生たちは私語、居眠り、よそ見に走り、授業がますます困難となってきます。
また、平成18年に私たちが実施した「つまずき研究」の調査結果からも、学生が「英語嫌い」になった原因の一つとして、「文法が難しくなったから」ということが上位に挙げられていることが分かっています。 学生たちに聞いてみると「文法用語を使って説明されると、よけい難しく感じて、ますますやる気がなくなる」ということでした。
そこで、前著『授業の「つかみ」は最初の5分―英語教師編』で使ったネタを利用し、文法用語や難しい説明を最小限にとどめ、学生に多量に構文の練習をさせながら、楽しく自然に定着させることができればと思い、第2弾を執筆することにしました。 実際、私の場合でも、授業の最後になって、「みなさんが今日習得した文法は○○と呼ばれています」と言うと、安心した顔や、納得した顔、さらには笑顔まで見ることができたのです。
最初の5分で授業の「つかみ」に成功すれば、後のアクティビティーが行いやすくなることは前から分かっていたことですが、偶然見つけた経営理論「AIDMA理論」により、さらに確信しました。
「AIDMA理論」とは、簡単に言いますと、米国の学者ローランド・ホールによって提唱されたもので、
Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲望)→ Memory(記憶)→ Action(行動)
の頭文字を取ったものです。
例えば企業がある新製品を売ることを目的とした場合、消費者に対して、
@ 「テレビ広告などによって注意を引く」
A 「商品に対する興味・関心を持たせる」
B 「商品を欲しいと思わせる 」
C 「商品やブランドを覚えさせる」
D 「購買行動を起こさせる」
の5段階を経させることにより、利益の向上へと結びつけていくのです。
この理論に着眼し、私なりに英語教育においていかに「AIDMA理論」が応用できるかについて考えてみました。 特に、英語の学習に拒否反応を起こしている学習者に対して、積極的に授業に参加させようとすることを目的とした場合、教師は、
Attention(注意)― 意外な始め方で学生の注意を引く
Interest(関心)― 英語に対する興味・関心を持たせる
Desire(欲望)― 英語を使ってみたいと思わせる
Mind(心)― 学生たちの心に訴えかける
Action(行動)― 授業を受けようという姿勢にさせる
ことが必要だと考えられるのではないでしょうか。
そして学習意欲が高まった後、実際に運用させ、自分の英語が通じる、という体験をさせれば、英語が苦手だった学生も自信がつくはずです。
しかも前回同様、学生自身からネタを集めることができるため、例文を考える必要はなく、教師の負担は軽くなります。 さらに、今回は私が実際に行ったアクティビティーの例も紹介します。 まだまだ改良の余地があると思いますので、皆様の厳しいご意見等を頂戴できれば幸に存じます。
前回と違い、本書では“Mind”(学生たちの心に訴えかける)以降の部分に関しては詳しく述べておりませんが、私の授業では、ポジティブ・フィードバックや、学生たちに英語での成功体験を増やすことで、彼ら・彼女らの心に訴え、その結果、授業に積極的に参加させることができると確信しております。
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