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語学

ISBN4-88978-035-1

此枝 洋子著

A5判 180頁
定価(本体1,900円+税)

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英語教師のための
「わかる、できる」授業からの出発

英語教師が英語力を充分に持っている事はまず必要です。
教師の英語力が上がれば英語教師として質が上がることは確かです。
しかし、英語力アップと同時に教師に必要なのは、生徒に英語を教える力です。
特に入門や初期の英語を教える教師は、そこで生徒に土台となる英語を教え、その後も着実に力を伸ばせるよう、基礎をしっかり固める指導ができなければなりません。
我々の生徒の多くは日本語が母国語であって、日常生活で英語を使うことはめったにありません。
そのような環境で、英語を使えるようになる指導をしなければならないのです。
英語使用国での第二言語習得研究結果をそのまま日本で実践してもあまり効果は期待できません。
教師が米英豪でTESOLを学ぶだけでは不十分です。
日本の風土の中で教師自身が自分の生徒をしっかり見つめて、まず、どうしたら生徒に英語を教えられるか研究する必要があります。
物心ついた時から英語を話していた英語ネイテイブスピーカーには、彼らが教える技能を学んでいない限り、英語の初歩から英語力をつけるように教えることは難しいようです。
彼らにとっては英語を話せるのは当たり前なのです。できて当たり前のことをきちんと教えられるのは、教え方の充分な訓練を受けている人だけです。
そのあたりのことは、ちょうど、日本人が日本語を教える状況に置き換えて考えてみると自明です。
「日本語を使いこなせるから」という理由だけで、誰でも日本人が日本語を初学者に教えるなどということはできません。
生徒も教え方を知らない教師に教われば混乱してしまうでしょう。 生徒も教師も不幸です。
しかしながら、最初から教え方の上手な教師に習えば、生徒は自信を持って力をつけてゆくことができます。
教えることの素人では、ある程度日本語がわかる人の日本語会話のお相手くらいしかできないのです。
英語教師は英語の教え方を研究して、自分の生徒が英語をどのようにしたら身につけられるかを探ってほしいと思います。
特に、英語初歩から中学3年間で確かな力を持つ生徒を育ててもらいたいのです。
易しい英語でも「自分の言葉」を持っている人は「自分の考え」が表現できるからです。
中学で学ぶ英語表現を自由に使いこなせるくらいの英語の力がある生徒が大人になれば、日本も必ず変わります。  
「初歩を教えるのは誰にでもできる簡単なことだ」という考えを持っている人は、まず、その考えを捨てて下さい。
初めこそ大切であり、ぜひ、生徒に良いスタートを味わわせてほしいのです。
出発段階でつまずくようなことがあれば、後々まで響くからです。
中学や入門期の英語では、日本の環境の中で生徒が確実に無理なく力をつけてゆけるような指導のできる教師が切に求められています。
どう教えたらよいかを心得ており、実際に力を伸ばせるような教師を割り当ててほしいと思います。
もしそのような教師の数が足りないのなら、有能な教師を育ててほしいのです。
そのために文部科学省には十分な支援を切に望んでいます。