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落語

ISBN978-4-88978-928-7

四代目 桂 文我著

解説書A5判 112頁
定価 (本体4,000円+税)

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【其の一】 桂文我上方落語選
解説書・CD二枚組

噺家になりまして二十五年―――。 アッと言う間に四半世紀が過ぎ、その間に全国各地で有難いスタッフに恵まれ、私自身の落語会も定着し、ネタの速記本や、子ども向けの落語本や絵本、紙芝居やビデオなども次々に刊行させていただけましたことは、噺家冥利に尽きると言えます。
今後もそれらの活動を充実させながら、まだ演じていないネタの上演や、滅んでいるネタの復活、そして、子ども達にもっと面白いネタを提供したいと考えていますが、さて、どのくらいのグレードで出来ますことやら―――。
しかし、不安を抱かえながら噺家生活を送るよりも、まずは実行に移してみるのが最善と思いますので、今後も思い通りの落語活動をパワフルにこなしていきたいと考えています。
今まで私自身の落語CDは、東芝EMIとAPPカンパニーから十枚発売されました。
東芝盤は、『芝居風呂』 『しじみ売り』 『昆布巻芝居』 『地獄八景亡者戯』 『子はかすがい』 『時うどん』 『三十石夢の通い路』 『ほうじの茶』 の八演目。
APP盤では、『らくだ』 『癪の合薬』 『住吉駕籠』 『能狂言』 『替り目』 『月宮殿星の都』 『ねずみ』 『佐野山』 『地獄八景亡者戯』 『猫芝居』 『掛け取り』 『占い八百屋』 『船弁慶』 『小間物屋小四郎』 の十四演目を収録しています。
また、子ども向けの落語CDは、小学館とAPPカンパニーと文我オリジナルで十三枚発売されました。
小学館盤は「ごくらくらくご」という二冊のCDブックに、私の創作落語で、『たぬきの入学しき』 『おべんとすいと』 『かっぱのカッパ』 『おもいたんざく』 『ざしきわらし』 『すいかのたねあかし』 『月とおだんご』 『本を読んでるもん』 『五年分のプレゼント』 『おかしな七福神』 『雪女のたん生日』 『くいしんぼうのひなまつり』の十二演目。
APP盤では古典落語ばかりを集めた「おやこ寄席シリーズ」として、『まんじゅうこわい』 『大安うり』 『だいみゃく』 『たぬきのサイコロ』 『ろくろっくび』 『とまがしま』 『どうぐ屋』 『しし買い』 『んまわし』 『てんぐの酒もり』 『たいらばやし』 『時うどん』 『サギとり』 『おやこ酒』 『どうぎり』 『つる』 『はつてんじん』 『えんようはく』 『皿やしき』 『ぶすけ馬』 『うなぎ屋』『七度ぎつね』 『八五郎ぼうず』 『もと犬』 『犬の目』 『くっしゃみこうしゃく』『牛ほめ』 『じゅげむ』 『夏の医者』 『花色もめん』の三十演題を収録しました。
そして、文我オリジナルは「ごくらくらくご」のライブ盤で、『たぬきの入学しき』 『おべんとすいと』 『かっぱのカッパ』 『おもいたんざく』 『ざしきわらし』 『すいかのたねあかし』に、古典落語の『ももたろう』 を加えた七演題を収録しています。
それらを発売しました後も、全国各地の「桂文我独演会」や「おやこ寄席」で高座の録音を続けて行い、お客様からも「次の発売はいつですか?」というお問い合わせを多数いただきました。
その上、『復活珍品上方落語選集(全三巻)』や『上方寄席囃子大全集(CD四枚付)』でご縁が出来ました、大阪で一番ケッタイで落語好きな出版社々長と評判の燃焼社・藤波優氏からのお勧めもいただき、この度、ポピュラーネタと珍品を混ぜ合わせたシリーズ物のCDEブックの刊行を決めました。
普通、CDブックの場合はCDに吹き込まれた落語の「速記集」が付くものですが、今回のシリーズはそうではなく、本を読みながらCDを聞いていただくとよくわかりますが、本とCDの落語の言い回しや内容がかなり違ったものとなっています。
その理由は、私が落語を上演する際、現時点で最良と思えるものを「本」として纏めましたが、CDの方は実際に落語会で演じた音だけに、その日の体調や会場の雰囲気で台本から変化している結果だからです。
ハッキリ申しますと、CDの方が「トチッている」ということになるのですが、これもライブの面白さで、それによって良い効果を上げている場合もあるだけに、「落語は高座で、かなり変化することを確認していただくのも良し」と考え、今回のシリーズは思い切った構成にした次第です。
それによって「読みにくい」と思われる方にはお詫び申し上げますが、落語のCDブックの一つの形としてご理解いただければ幸いです。
落語のライブCDを聞く楽しさは、噺家の技量が肝心とはいえ、会場の雰囲気や盛り上がりが大きくモノをいうだけに、「落語会の開演から終演まで、お客様に快適に過ごしていただこう」と気配りされた会場の雰囲気を、このCDを通して感じ取って下されば、これより嬉しいことはございません。
厳選した音のみをCDにしたいと考えながらも、刊行後に自分で聴いてみると、今まで気が付かなかった不備やキズに気付くものですが、これも「その時期の文我の記録」として納得し、それよりも良い高座を展開していきたいと、厚かましくも考えていることをお許しの上、今後も末永くお付き合い下さいますよう、宜しくお願い申し上げます。


CDジャケット