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ISBN4-88978-027-0 |
四代目 桂 文我 著 |
上製函入り 400頁 定価(本体4,000円+税) |
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珍品中の珍品 |
続・復活珍品上方落語選集 |
はじめに
「復活珍品/上方落語選集」 という大胆なタイトルを掲げ、 私にとって初めての速記本を刊行しましたのが、 昨年の七月。
その一年後に続編を刊行できるとは、夢にも思っておりませんでした。 ご支援いただきました方々に、 深く御礼を申し上げます。 経済情勢や、 住宅事情により、 凾入り・布貼りという豪華本が姿を消していく昨今、 これに反して、 頑にそれを固守しようではないかという意気込みで、上製本に仕上げたのが前書でありました。 四千円を越える落語本の刊行、 まして馴染みのないネタばかりでは、 多くの買い手は望めないかもという周囲の心配をよそに、 お蔭をもちまして、 全国からご注文をいただき、 嬉しい悲鳴をあげております。 新聞・雑誌にも数多く取り上げていただき、 噺家仲間の先輩方からも、 「あの本で覚えても良いか」 と、 依頼を受けたりしました。 どうやら前書は一年の間、 多方面へ一人歩きをしたようです。 こうして復活本の看板を掲げた主旨を理解し、 応援していただきましたことがこの度の続編刊行へ大きな後押しとなりました。
前書は 「芝居噺」 を数多く収録したため、 実際に高座を見ていただかなくては、 面白さが伝わりにくいネタが多かったのですが、 今回は 「滑稽噺」 を中心に、 目で追っていくだけでも想像が膨ふくらむ演題を主に収録しました。
ネタの選別をしていて、 気がついたのですが、 滅んでいるネタは、 多くが 「生き死に」 を扱っていました。 本書では 『紺田屋』 『小間物屋小四郎』 『出歯吉』 が、 それに当たります。
やはり、 生き死にを扱うネタは、 どこかに暗さを含み、 テーマも重いので、 敬遠されやすいネタになったのだと思われます。 但し、 これらのネタから発見出来る、 暗さの中の明るさは、 ポピュラーな爆笑落語には無い味わいと言えるのではないでしょうか。
続編をまとめるにあたり、 私、 四代目までの文我代々の速記を収録したいと考えました。 それらは古い速記本や雑誌、 テープを起こした物ばかりで、 文体の統一はありませんが、 それぞれの文我の味をお楽しみいただければ幸いです。
この度も各方面の方々から、 的確なご指摘をいただきました。
それぞれのネタの解説に、お世話になりました方々のお名前を記しておりますので、 ここではあえて申しませんが、 私の不足部分を、 常に豊かな経験と知識により補って下さる方々には、 心より感謝いたしております。 ありがとうございました。
最後に一言、 大阪弁の表記に於いて。 前書同様、 出来るだけ全国の読者の方々に、わかりやすくお伝えすることを旨としましたので、 高座で語る大阪弁と違っている部分が多々ありますが、 これは高座の落語と、 読む落語の違いと、 ご理解下さいませ。
今後も牛歩ながら、 噺家活動の一環として、 滅んでいるネタの復活にも、 心を砕いて参りますので、 どうぞ、 末永くご贔屓のほど、 お願い申し上げます。 そして、 本書を一読された後のご感想を、 お聞かせ願えれば幸甚です。 |
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