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ISBN978-4-88978-112-0

須賀 章雅著

四六判 288頁
定価 (本体1,800円+税)

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全国の愛書家に贈る

さまよえる古本屋
―もしくは古本屋症候群―

 主にこの十年ほどの間に書いたさまざまな文章を集めて、二冊目となる本を編んでみました。
 たとえば日記形式の文章が四つ入っておりますが、それぞれ成り立ちと云いますか、性格が異なります。プライベートな日記として書かれたものがひとつ、残りはドキュメントエッセイ、連載用のコラムエッセイ、さらにいまひとつは小説(になっているかどうかはともかく)を意図して書かれた作品です。
 かような具合に、いろいろな文章に加えて漫画まで入っている、寄せ鍋風と申しますか、ブイヤベース風の具沢山な中身となっております。
 Tにはご挨拶代わりとして「古本屋症候群」を据えました。Uからはエッセイや日記や創作が形式別ではなく、ほぼ、書かれている内容の時間に沿って並んでおります。
 はるか昔、室蘭の高校生だった頃から、昭和の終盤に店を開き、その後、通販専門となって馬齢を重ね、平成の今日まで生き延びてきたある古本屋が見聞きした事柄や、すれ違った本、出会った人たち、そしてとりわけ凡夫自身の姿が、飛び飛びに描かれているのでは、と思います。
 「酩酊店員日記一九八二」は凡庸で幼稚な青年が古本業界入りした年の恥ずかしい日録の抜粋。
 題名に吉増剛造氏の詩行を拝借した「ああ 狂おしの鳩ポッポ」は、『彷書月刊』に掲載された作に十枚余りを加筆した定稿版。
 「奈落の娘ミカ」シリーズはたしか、二〇〇三年の夏から二〇〇四年の初めあたりに、友人の娘さんで当時高校生だった笹木桃さんのために書いた漫画向けシナリオ。そのうちの一作は、荒削りながら大胆かつ独特の画風で即漫画化され、ずいぶんと笑わせてもらったものでしたが、今回収録したのは新たに描き直してくれた作品です。
ストーリー、登場人物共に架空のもので、ほぼあり得ないお話が漫画ではさらにデフォルメされています。五年余り前から『北方ジャーナル』に連載している漫文「よいどれブンガク夜話」でも桃さんには毎月愉しい挿絵を貰っております。
 連作「古本ノンキ堂咄」も内容、人物共に作りごとであり、モデルはありません。ちなみに「ノンキ堂」の奈落屋は独身であって、「ミカ」の奈落書房とは別人という設定です。ふり返ってみると、この「ノンキ堂」シリーズや「冬の先生」などを、今は休刊してしまった『季刊 札幌人』に自由に書かせて頂いたのはありがたいことでした。

T 古本屋症候群
   ある色紙のこと
   あるハガキのこと
   『ある青春』のこと
   ある詩人のこと
   あるサイン本のこと
   ある愛書家のこと
   ある夏休みのこと
   ある喫茶店のこと
   ある先輩のこと(上)
   ある先輩のこと(下)
   ある翁のこと
   あるよき時代のこと
   ある名刺のこと
U 古本屋以前
   箱男の夏
   春――昔、花の東京で
V 足を踏み入れて
   酩酊店員日記一九八二
W 店を開いて
   魔の永久運動――『彩色ある夢』をめぐって
   私小説的山本文庫――Sの場合
   【小説】あヽ雑巾先生
   古川さんの冷蔵庫
   冬の先生 
   お引っ越し日記--浮かぶ背もあり?
X 足を踏み外して 
   枯葉と犬と私と
   【小説】 ああ 狂おしの鳩ポッポ――一月某日 
   【漫画原作】 奈落の娘ミカ 
     奈落の夏休み
     たとえば奈落のクリスマス
     古本ふらり奈落旅
   【漫画】 奈落の住人 画・笹木桃
Y さまよえる古本屋 
   とにかく古本屋日記
   秋のよろこび二〇〇六
   古本監獄
   【連作掌篇】 古本ノンキ堂咄
     初売り
     花見酒
     果てしなき野望
     湯煙地獄試練の飛沫
     カフェは花ざかり
     古本定食
     ホテル白熊にて
     夏の手紙
     幸せになりたい
古本屋―冬のつぶやき